2020/2/7

【反社会復帰】社会に居場所をなくしていく障碍者たち

皆さんは、「反社会復帰」という言葉をきいたことがあるでしょうか。反社会復帰とは、

精神障害者などの障碍者が、障害の悪化を防ぐためなどの理由で社会に復帰することを拒むこと、または拒む思想

出典”wikipedia.org”

を言います。例えば、障害があるために社会生活が困難であり、わざと犯罪を犯して刑務所に入る人達などは、反社会復帰をしているといえるでしょう。

【反社会復帰】社会に居場所をなくしていく障碍者たち

皆さんにはあまり関わりのない話かもしれませんが、身寄りのない高齢者だったり、働くことが難しい障碍者が、故意に、またはやむおえず犯罪を犯して刑務所に入るということは決して珍しいことではありません。

犯罪の総数が激減する中で知的障害がある人の犯罪はあまり減っておらず、1人の受刑者が平均3.8回の服役を経験しています。

健常者を含む全体の平均が3.1回なのと比べると、再犯が多いことが分かります。高齢者の犯罪は逆に増えていて、検挙者数は20年前の約4倍です。

多くは、元々、障害を持っていた人が、生活に困って犯罪を重ねながら年を取ったケースです。

出典”yomiuri.co.jp”

働くことができなかったり、繋がれる人がいなければ、社会のなかで居場所をみつけられず、刑務所にいる方が楽だと感じるのは当然のことかもしれません。

生きづらいと感じている人達は確実に増えている

生きづらい、というキーワードの検索ボリュームを2004年から調べてみました。右肩上がりに検索ボリュームが増えているのがわかると思います。

Google トレンド

もちろんネットを使う人達も増えているので、検索ボリュームの変化だけで、居場所がないと感じている人が増えていると断定することはできませんが、生きづらい、居場所がない、と感じている人が増えている一つの指標として参考にできると思います。

ちなみにネット普及率はこちら。生きづらさ、の検索ボリュームは2013年度から増え続けていますが、ネット普及率は2013年度からはほぼ横ばいとなっています。

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出典”インターネットの登場・普及とコミュニケーションの変化 ”

産業構造の変化と発達障害

特に、生きづらい人達のなかで僕が注目しているのは発達障害の人達です。身体障碍の方達にとっては、テクノロジーの変化によって、むしろ”障害”という概念がどんどんなくなってきているのではないかと思います。

例えば、家で寝たきりの人でも、カフェの店員ができるカフェがオープンしたり、社会参加はしやすくなってきている。そしてこの流れはもっと加速しているだろうな、と考えています。

このカフェの最大の特徴は、店員がすべてロボット「OriHime-D」であること、それらロボットを遠隔操作しているのが寝たきりや、難病などで外出することが困難な人たちと言う点だ。

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出典”dawn-open.html”

それに比べて、うつ病や発達障害の人への社会参加は年々厳しくなっていると感じています。僕が原因の一つとして考えているのは、産業構造の変化です。

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出典”toshi_tomie”

みてわかるように、サービス業が大きく伸びて、その他の産業はゆるやかに下降、特に農林業などは大きく下降しているのがわかると思います。

第一次産業(農業・林業・鉱業・水産業)
第二次産業(製造業・工業・電気ガス業・建設業)
第三次産業(対人サービス業・医療・福祉事業・小売り業)

1970年 ⇒ 2010年の、産業構造はこの様に変化しています。

第一次産業 1015万人(19.3%) ⇒  238万人 (4.2%)
第二次産業 1790万人(34.1%) ⇒ 1412万人 (25.2%)
第三次産業 2451万人(46.6%) ⇒ 3965万人 (70.6%)

出典”plaza.rakuten.co.jp”

発達障害の方はどちらかというと、同じルールの中で決まった仕事をするなど、製造業などと相性がいいです。また、軽度知的障碍者の方にとっても、製造業は相性がいい業種です。

しかし現代の産業の主流はサービス業です。サービス業は、大量にはいってくる情報を同時に処理したり、高度なコミニケーションを要求されたりと、発達障害の方や知的障碍者の方にとっては、苦手な分野です。

大人の発達障害が増加していると言われていますが、これまではうまく社会とやっていけていた人達が、構造の変化によってうまく社会に適応することができなくなっている、と僕は感じています。

また、コミニケーションの方法も変わりました。プライベートで主流となるのは、チャットツールなど文字です。感情の機微が読みづらい発達障害の人にとっては、普通の人達とテキストでやり取りをすることも大きなストレスに感じることでしょう。

これからの社会と障害者の居場所

では、今居場所がないと感じている人達はどうしていけばいいのでしょうか。僕が思うことは、自分たちの現状をもっと社会に伝えていくことです。マイノリティのことに多くの人は関心がありません。

例えば、うつ病や発達障害の方のインタビューをニュースで見て、せいぜいその場で感動するくらいでしょう。

LGBT、という言葉があります。恐らく多くの人がこの言葉を知らなかったはずです。
しかし、今は多くの人が知っていますね。なぜなら、LGBTの人達が自分たちの存在を社会に主張したからです。

自分たちは当然に、この社会で安心して暮らす権利がある。という声をどんどん社会に届けました。

LGBTの方達の有名なイベントで、東京レインボープラウドというイベントがあります。毎年ゴールデンウィークに開催されています。2012年の参加者は、4500人。2019年はなんと、参加者が20万人になりました。

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出典”tokyorainbowpride.com”

SNSで虹色の写真を見かけた、という人も多いと思います。虹色=LGBTを象徴する色、それくらい、彼らは自分達をブランディングし、社会に訴えかけたわけですね。

なぜなら、自分達が安全に、安心して受け入れられていくことは、当然の権利だからです。

社会も動き出しています。同性婚が認められたり、トイレの利用方法が議論になったり、高い関心を集めていますね。

比べて、発達障碍者や精神障害の方の生きづらさは、一時的に関心をあつめても、生きやすくなるための権利が認められているとはいいずらい状況だと思っています。

終わりに

今日、この記事の中で私は何かの結論をだしたり、何かの答えや行動を誰かに求めているわけではありません。ただ、私達一人一人が、それぞれの苦しさを個人の中だけに求めるのではなく、用意された環境にも目を向けてもらえるようになってもらえれば幸いです。

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